注意:この記事は重大なネタバレを含んでおります。
大好きだからこそ語りたい!でも大好きだからこそ未プレイの人にはブラウザバックを強く強くお勧めいたします。
まずは何も情報を入れずにプレイしてみてください。
OMORIが好きすぎてサギソウを育てたいがために、生まれて初めての園芸に手を出したというぶっ飛んだ記事はこちら↓
『OMORI』とは(一応)
このゲーム、私は移植されたswitchで2021年にプレイしたのですが、
2020年に発売されております。
忘れかけている人のために少しだけどんなゲームか書いておきます。
以下Wikipediaからの引用です。
プレイヤーは引きこもりの少年である2人の主人公を操作し、夢と現実の世界を行き来して様々な場所を冒険しながら、主人公の抱えるトラウマと隠された真実に向き合っていく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/OMORI
そうそうこんなゲームでしたね。
まぁ一度最後までやっていればこのゲームのことはゼッタイに忘れられないとは思いますが……
最高のゲームだったけど…正直な感想
とても素晴らしいゲームでした。
『面白かった』なんて言っちゃいけないような気持ち。
グッドエンドとバッドエンド
私はグッドエンドに行き付きましたが、
みんな思ってるだろうけどこれがグッド!?!?
ってなりましたよね。
二周目ではちゃんと行き方を調べてからバッドエンドに向かいました。
どうなるかなんとなく分かってたのでバッドを見るか見ないか相当悩みましたが、好奇心に負け…
覚悟して見ましたが、バッドエンドの方が納得したというかスッキリしたというか。
それはあのエンドロールの最高の演出ありきだとは思います。
でもこの演出の気合いの入りよう、こっちが正規ルートなのでは?と思えてしまうほどです。
バッドエンドのエンドロール部分を何度もYouTubeでリピートしました。
最高の音楽も合わさって本当に芸術的。
曲はbo enの『my time』。
このbo enはイギリスの音楽家で、日本が大好きらしいです。
なので、日本のゲームが好きなOMORIの作者であるOMOCATさんが「日本語の曲を作ってくれ」と依頼したわけではなく
この『my time』以外にも日本語が入っている曲をたくさん作っているみたい。
中盤部分のダレについて
このゲーム、中盤がかなりダレる。
ホラー演出も長い間なかったりするし、ストーリーの進みが遅い。
でもラストの衝撃を完全に味わうためには絶対に抜かせない部分でもある。
ただお友達と楽しく過ごしたり、魅力的な敵キャラと戯れながら戦ったり、家庭教師したり、ペットロックやったり
夢の世界でも現実の世界でも
こういう平和でなんでもないシーンがたくさんあるんですが、
最後すべてが明らかになった時、この“なんでもないだらだらした時間”が
すごく重要で大切な時間だったんだ気づくんです。
やってる途中は飽きてしまいそうだなって思ってた自分殴りたいですね。
特に印象に残っている“大切な時間”
- スペース彼氏の名前変更
- 彼氏→船長→旦那→元旦那に名前が変わるの最高
- 苗もぐらの追悼の儀
- 自分が倒しちゃった敵が追悼されてるの見るの気まずくて草
- スイートハートとの戦い
- 音楽が良すぎて鳥肌。
- 適当にやった家庭教師
- 間違えまくったのにお給料もらって気まずくて草
- ケルとのハイタッチ
- 毎回わざわざ『はい』『いいえ』で選ぶことになるから印象に残る。実績ありそうと思いつつも『いいえ』を選ぶことは一度も出来なかったなぁ
オーブリーとサニーの分かりにくい恋心
かなり後半まで行かないとはっきりと描かれることがない2人の子供の頃の恋。
よく見たら序盤の方から夢の世界でオーブリーがオモリにもたれかかっていたりします。
ここをメインにしても十分切ないし悲しい。
なのにそれを詳細に描かなかったのが逆に良かったです。
良かったというか…
サニーは例の事件があって引きこもってしまう前は、明らかにオーブリーのことが好きなのに(←思い出の中でのバジルとの会話)
現実でも夢の中でも、現在はそれを全く感じないんですよね。
そりゃそうなんですよ。
オーブリーに恋する気持ちなんてそんな余裕があるわけもなく、自分を否定し続けているサニーがその気持ちを持ち続けられるわけがないんですよ。
恋なんてするには抱えてるものが重すぎる。
でもサニー自身が理想とする夢の中の世界で、
オーブリーはサニーに心を寄せている描写が少しだけある
っていうのがもう辛すぎて。
詳しく描かれていない分、サニーの気持ち・オーブリーの気持ちを考えてしまってもうここだけでも立ち直れません。
OMORIの真実が明らかになる展開について
omoriについて語りたくなるのは、これがあるからです。
私はプレイ後、1〜2週間はこのことについてずっと考え続けてしまいました。
趣味の悪い最低なゲームです(褒めてます
事件の真実についての説明(一応
サニーは引きこもっていて、そのサニーの頭の中の想像世界での主人公がオモリ。サニー自身です。
それは物語の序盤ですぐに分かるようになっているのですが、サニーが三年前から引きこもった理由がなかなかプレイヤーに教えてもらえない。
中盤頃に姉のマリは現在亡くなっている(自らの意志で)、ということが分かりますが、サニーとバジルの異様な様子や会話からそれだけが原因とは思えないんです。
なので中盤時点では、
バジルが何かやらかしてしまってそれがマリが亡くなったことに関係していてサニーはそれを知ってしまっている
と思っていました。
例えばマリに何か酷いことを言ってしまったとか、マリの悩みの原因を知っていたとかそういう類の。
そして夢の世界でやたらとマリが亡くなっている現場の描写っぽいのが出てくるので、サニーは姉のその現場を見てしまっているのだろうなと
まぁ〜今思えば軽く考えてました。
いやこれだけでも十分重いんですけど。
物語の終盤明らかになったのは、もう考えられる中でも最悪の事実で
サニーがマリを階段から突き落としてしまい、それをバジルが目撃。
親友のサニーを守るためバジルは『マリは自らの意志で亡くなったのだ』と見せかけることを提案。2人で協力して偽装工作をした。
というものでした。
正直これ書いてる途中で嫌になってしまうくらい本当に最悪な展開です。
主人公に対する不信感
まず事実を知った時、
嘘だよねサニー?嘘だよねオモリ?なんで?なんでそんなことした?なんで?
となります。そして怒りも沸きますし、絶望もします。
これはきっと私だけじゃないはず。
やはりゲームをしていると操作をしている主人公に感情移入をしてしまうもの。
何があったか分からないけど大好きなマリが亡くなっちゃって、この子は本当に辛かっただろう
と思っていたし、もちろん信用していたんです。
だから、やらかしたのはバジルの方だと思ってました。
オモリに対してバジルは「許して」って言ってたし。
もしかすると私自身がそう思いたかったのかもしれません。
ずっと信用していた主人公を一気に信じられなくなるんです。
とても怖い存在に感じました。
サイコパス的なことか?とも一瞬思いました。
ホラー系のゲームなので、主人公はヤバイ奴だった!という結末でもいいのに、
ここをそうしなかったというのも逆に趣味が悪いです(褒めてます
実際はサニーはマリのことも友達のことも大好きだったんですよね。
最初は本当に事故のようなものだったし、
バジルが現れる前は憔悴しきっていてほとんど意識もないような状態だったわけですから。
オモリとサニーの戦い
オモリはまだ夢の中にいたい。
サニーは現実と向き合いたい。
オモリという自分の中の闇と戦う場面です。
オモリはずっとバジルを遠ざけてきました。
バジルの存在を消してしまおうとしていました。
バジルはオモリにとって一番の“現実”。
オモリの夢を壊してしまう存在だったからでしょうね。
オモリは自分自身を否定し続け、攻撃し続けます。
自分のせいで姉が亡くなり、そして自分の手で偽装工作して、『マリは自らの意志で他界するほど何かに苦しんでいた』と思わせることで友達や家族のことも苦しめてしまったわけですから
当然といえば当然。
プレイヤーである私も、オモリと同じ感情を主人公に抱いてしまったことも否定できません。
ここがomoriの特異なポイントな気がします。
一番の味方であるはずのプレイヤーが主人公のサニーに対して、このまま過ごしてもいいのか?存在してもいいのか?とまで思ってしまうという…
そんなことを思ってしまう自分に対しても複雑な気持ちになる。
グッドエンドのOMORIラストシーン
例の事件の衝撃から、モヤモヤが止まらないラストシーン・エンドロールへ
そんな爽やかな曲流されてもこっちはそんな気分じゃないんですよ!!!!
グッドエンドってなんだっけ??
グッドエンドが一番不幸な可能性すらある、とまで言われている問題エンド。
いやお前は良いかもしれないけど友達はどうなの!?
と、まぁ最初はそう思ってました。
マリが亡くなった真実を友達みんな(ヒロ、ケル、オーブリー)に打ち明けるわけですが、
「話があるんだ」
とサニーが言い出してそこで終わりエンドロールへ行ってしまうという。
このあとの展開どうなったかは分からないけど、私には絶望しかない
マリは自ら望んでこの世界を離れたということになっていたせいで、
恋人のヒロは今までどれだけ苦しんできたか。
あのヒロが自暴自棄になってケルにも泣き喚きながら当たり散らしていたという話もこちらは聞いてしまっていますし。
想像も出来ないほど苦しみ自分を責めたことでしょう。
ヒロはこんな真実を聞いてまともでいられるとでも??
友達思いで正義感の強いケルは??
オーブリーだけは直近でバジルを池に落としてしまってるので、少し時間を置いて冷静になれれば理解はしてくれそうかなと思うけど…
でもアルバムをぐちゃぐちゃにしたのはバジルじゃなくサニーだったって知っても分かってくれるか…?それをサニーはあのとき黙っていたんだぞ…?
バジルのせいにしたままで……
もし結果的にみんなが理解してくれたとしても、また苦しめることは間違いなくそうだと思うんですよね。
そう、自分だけが楽になるんですよ。
バジルも真実を言って欲しかったんだとは思うけど、でもバジルはこの町に残るんだよ??
サニーは言い逃げだよ??
これは相当モヤモヤしました。
1〜2週間めちゃくちゃ悩んで考えました。
そこで気付いたんですよね。
ゲーム1本でここまで苦しんでここまで辛かったのは初めてだなって。
それに、いつのまにかみんなのことが大好きになってたんですよね。
バッドエンドを見た上でグッドエンドを考える
モヤモヤを抱えたまま、少し落ち着いてからバッドエンドを見ました。
全ては見れなかった(と思う)んですが、
バジルが亡くなるパターンとサニーが亡くなるパターンの両方を。
それでやっとグッドエンドはやっぱりグッドエンドだったんだと納得できました。
あの幸せとはとても言えないエンドは、omoriの中では幸せな方ではあったんですよ。
そもそもomoriってゲームは最初に始まったところからもうドン底のバッドな状態で、
それは過ぎていることなのでプレイヤーにはどうしようもない変えられないことなんです。
そのドン底状態をどこまでマシに持ってくかっていうだけで、ドン底には変わりない。
サニーは加害者の方なのでお友達目線で考えますが、
マリを喪っているのに、バジルやサニーまで亡くしてしまうなんてお友達には耐えられないでしょう。
サニーが一人で亡くなるエンドではその後は全く描かれませんが、バジルが後追いするのはほぼ間違いないだろうし
バジルが亡くなるエンドを見てしまうとあの3人の中から後追いが出てもおかしくないとも思います。
特にオーブリーは、真実を知らないままバジルが死を選べば、それまでの経緯から私のせいで…と思うでしょうしね…
まず真実を友達に伝えて抱えているものを少し分けないと、もうサニーとバジルは耐えられない状況まで来てしまっていて、言わなければもう生きていられない。
そうなると友達は更に更に苦しむことになる。
だからグッドエンドはまだマシエンドなんですよね。
えっと、辛すぎませんか。
明らかになっていない部分の考察
omoriではほとんどのことがしっかりと種明かしされます。
ですが少しだけ意見が分かれているところなどがあるようなので、自分なりに考えてみます。
サニーの両親について
ここは自分の中ではちゃんと答えが出ていて、両親はサニーのやったことを知っていたと私は思っています。
理由は夢の中での父親らしき木を切る男の言葉。
「お前は息子じゃない」
というセリフが出てきます。
サニーの頭の中でのことなので、自分を責めた結果こういう描写になったという考え方もあると思うんですが
でも現実世界でも父親は出てこないし、マリが吊られていた木は切られているんです。
普通に考えたら、サニーの両親はサニーが工作したことを分かっていて、
父親はサニーを受け入れることが出来ず出て行ってしまい、母親は息子までも失いたくないという気持ちで(そういう台詞ありましたしね)まだサニーの母親を続けている
ということだと思います。
母親も娘を手にかけた息子と一緒に過ごすことを苦しんでいるのではないかとは思われますね。
引きこもりの息子を置いて先に引っ越し先に行ってしまっているわけですからね。
何も知らなければ、マリのことがあった上で引きこもっている息子を一人で家に残しておくことなんて何があっても出来なさそう。
しかしこれは私は両親を責める気にはなれない…
サニー目線だとひどい親だけど…
でもさ…でもさーーーー!!人間だもの!!!
ニャーゴどこ行った?
ブラックスペースでニャーゴを切れましたか?私は無理でした。
これだけは絶対無理。やらないと進めないならこのゲームやめる!
という気持ちでした。迷わず自分を刺しました。
猫好きからしたら、ゲーム終わってしばらくモヤモヤした後に思うはずです。
結局ニャーゴは!?ニャーゴどうなったか全然出てこなかったけど!?
と。
ブラックスペースでニャーゴに対してあんなことをしようとしてたオモリですから、
現実でニャーゴにやばいこと起きたんだ…!って思って戦々恐々としてましたが
ニャーゴに関することは特に何も出てこない。
これは本当にワカラン。というかノーヒントすぎるからストーリーとそんなに関係ないっぽい。
でもホワイトスペースにいたり、幻覚が家まで案内してくれたり、サニーはニャーゴのこと特別に想ってるのは分かる。
だからこそ何故ニャーゴのその後が描かれてないのか謎すぎる。
家にいないし亡くなっているんだとは思うけど、寿命にしては早すぎるし普通に病気だったんだろうか…
サニーがもし何かしてたら絶対許さん
空想のマリと本物のマリ
マリはストーリーが始まった時点で亡くなっているので、
空想の中と思い出の中にしか出てきません。
なので、マリはずっと物語中でサニー(オモリ)を助けてくれるし「自分を許してあげて」と言ってくれているのですが、
これがマリの本心なのかサニーがこうあってほしいと思う姿なのかはもちろん分からない
なのですが、1箇所だけ本物のマリの霊なのでは?と思えるシーンがあるんですよね。
サニーの家のピアノ室から聴こえるマリが弾くピアノの音。
これサニーだけじゃなくてヒロにも聞こえてるんですよ。
サニーの空想ではないということですよね。
でもこれはあんまり関係ないかなって思うんです。
サニーの空想でも本物のマリでも。
マリは亡くなってしまっているので、
サニーが思うマリがマリなんですよ。
私が思うマリもサニーが思うマリと相違がないし、あれは全てある意味で本物のマリだと思います。
それにしてもあのシーンは本当に素敵だった。
マリはどの時点で亡くなったのか、生きていたのか
これもOMORIをやった人なら一度は少し考えてしまうところ。
確かに階段上での出来事は事故だったと言えると思うし、あの時点でサニーを責められる人はあまりいないと思います。
しかし、階段から落とされ転げ落ちた時、マリにはまだ息があったのではないか?という話です。
あの時点で息がまだあったとしたら、偽装自体が死因となってしまうわけです。
これは、サニーとバジルの手でマリを……ということになってしまいます。
まだ息があった説を唱える方々の意見としてあるのは、あの髪の隙間から見えたマリの目。
何の説明もなく写真がただただ見せられ、あの最後の写真でプレイヤーに衝撃を与えるシーンなので、あれを「マリは生きていた」と受け取る人もそこそこいるようです。
個人的には生きていたかいなかったかは別として、あの写真は生きていることを匂わせるものではなく、ただ「サニーが最後に見たマリが、あの、いつも後ろにくっついてきてた黒い化け物だったのか」という衝撃と納得感のためのシーンだと思います。
ストーリー上としては「実はあの時まだ生きていた」が無い方がまとまりがあるし綺麗(という表現でいいのかは分からないけど)だと思うので、『私はマリは階段から落ちて亡くなった』派です。
なのですが、正直ここに関しても個人的にはどちらでも良いかなって思います。
どちらにしてもサニー側から見たら変わらないんですよね、これ。
『階段から落ちて亡くなった』が真実だとしても、サニー自身はそれで納得ができるはずがない。
その真実が仮に科学的に証明できたとしても、こんなのは何の慰めにもなりません。
サニーは一生、自分のしたことを後悔するし、あの時ああしていればマリはまだ生きていた…といういくつもの選択肢を浮かべて自責の念をずっとずっと持ち続けると思います。
なので、厳密に言うとこれも『どっちでもいい派』
作者が自分の作品を愛しているのが分かる
それが伝わってくるゲームは総じて最高です。
例えば電車に乗るために並んでいるモブキャラ達。
全員に名前があって全員ちゃんと喋る。
しかも戦闘になったり1文字ずつ喋ったり手が混んでる。
あとお友達の『タッチ』のイラスト。
今居る場所で背景が変わっている。しかも現実版もある。
とにかく細やかなところまで作り込んでいて、私だったら作りながらめんどくせーってなりそうなところをちゃんとやってる。
これは作品への愛がないと出来ないですよ。
こういう作り手の人が私は大好きなので(トビーフォックスとかもそう)
このomoriも好きになってしまいました。
ただほんっと悪趣味だなって。人の心を破壊するの得意なんだろうなって。(全部褒めてます
だってね
グッズもたくさん出してるみたいなんですけど、サニーの後ろに付いてる黒いやつ(マリ)をもうキャラ化しちゃってるグッズがめっちゃあるんですよ。
ぬいぐるみとかTシャツになってるんですよ。
いやその黒いやつってマリの髪の隙間から目が見えてるやつだよね!?
ぬいぐるみにしないでくれます!?!?
こういうところも趣味が悪い…(何度も言いますが褒めてます
ただ苗モグのぬいぐるみはめちゃめちゃ欲しい…今もう無いみたいだけど…
バジルとオモリのねんどろいどが発売されてるらしい。
これは欲しいね〜〜