私たちが暮らす宇宙は、約138億年前に「ビッグバン」という大爆発で誕生しました。
それ以来、宇宙はどんどん広がり続けています。
しかし、この広がりは永遠に続くのでしょうか?
それとも、いつか宇宙は収縮してしまうのでしょうか?
この記事では、宇宙がどのように終わる可能性があるのか、そしてその後に新しい宇宙が誕生する可能性を示す「ビッグクランチ」と「ビッグバウンス」という二つの理論を、初心者にもわかりやすく解説します。
ビッグクランチとは?宇宙が縮んでしまうシナリオ
「ビッグクランチ」とは、宇宙が膨張から収縮に転じてしまい、最後は一点に収縮してしまうという理論です。
ビッグクランチが起こる流れ
- 宇宙の膨張が止まる
現在、宇宙は「ダークエネルギー」と呼ばれる謎のエネルギーによって加速的に膨張しています。
もしこのダークエネルギーが何らかの理由で弱まったり性質が変化したりすると、膨張は止まり、逆に宇宙は収縮を始める可能性があります。 - 銀河や星が衝突する
宇宙が収縮すると銀河同士や星が衝突しやすくなります。
これにより巨大な銀河が形成され、宇宙はより密集した状態になります。 - ブラックホールが成長する
衝突した星からブラックホールが生まれ、これらが合体を繰り返し巨大化します。
最終的には、宇宙の物質がブラックホールに飲み込まれる可能性があります。 - 特異点への収縮
すべての物質とエネルギーが究極の密度で一点に集まり、「特異点」と呼ばれる状態に至ります。
このようにして宇宙は一点に収束しますが、この特異点で宇宙は完全に消滅するのでしょうか?
次に紹介する「ビッグバウンス」理論がその答えとなるかもしれません。
ビッグバウンスとは?宇宙が再び生まれ変わる可能性
「ビッグバウンス」は、ビッグクランチの後、再び新しい宇宙が誕生するという理論です。
つまり、宇宙は終わるのではなく、「誕生」と「消滅」を繰り返している可能性があります。
ビッグバウンスが起こる仕組み
宇宙が極限まで小さくなった特異点では、量子力学(極小の世界の物理法則)が働きます。
この特異点を簡単に例えると、「ゴムボールを床にぶつけると跳ね返る」ようなイメージです。
宇宙も、究極まで縮んだ後に跳ね返って、新たなビッグバンが発生すると考えられています。
また、宇宙が収縮した際、宇宙の乱雑さ(エントロピー)がリセットされることで、新しい宇宙は全く異なる初期状態からスタートする可能性があります。
さらに、最新の宇宙論では、私たちが見ている3次元宇宙以外にも高次元が存在するとされており、これが新しい宇宙の誕生を促す可能性があるとも考えられています。
現在の観測結果との関係
現在の観測データでは、宇宙は加速膨張を続けており、ビッグクランチの兆候は見つかっていません。むしろ「ビッグフリーズ」(宇宙が冷え切る)や「ビッグリップ」(宇宙が引き裂かれる)というシナリオが有力とされています。
しかし、ダークエネルギーの正体が解明されることで、再びビッグクランチやビッグバウンスの可能性が見直されることもあります。
もしビッグバウンスが本当に起こるとしたら?
新しい宇宙は現在とは異なる物理法則を持つ可能性があります。
例えば、私たちが知っている時間の流れや空間の構造が、次の宇宙では全く異なる形になるかもしれません。
また、現在の私たちの宇宙も、過去に何度も繰り返されたバウンスの結果として生まれたのかもしれません。
まとめ:宇宙は永遠に続くのかもしれない
現在の科学では、ビッグクランチやビッグバウンスの可能性は確定していません。しかし、ダークエネルギーの研究が進むことで、これらのシナリオが再評価される可能性があります。
- ビッグクランチ:宇宙が膨張をやめ収縮し、特異点に収束する可能性。
- ビッグバウンス:ビッグクランチの後、新たな宇宙が誕生し再び膨張する可能性。
- 現在はビッグフリーズやビッグリップが有力だが、ダークエネルギー次第で将来のシナリオが変わるかもしれない。
宇宙が本当に終わるのか、それとも永遠に生まれ変わり続けるのかは、まだ誰にも分かりません。
しかし、未来の研究によって宇宙の運命が解き明かされる日は確実に近づいています。

