1969年5月、アポロ10号のミッション中に、乗組員たちは月の裏側で奇妙な音を耳にしました。
この音は「口笛のような音」とも表現され、後に「月の裏側の音楽」として話題になりました。
本記事では、この出来事の詳細と、その正体について解説します。
どのような音だったのか?
アポロ10号の乗組員が記録した音は、
- 「ウィーウィー」といった電子音のような高音
- 口笛のような不規則な音
- 周期的に変化し、まるで音楽のように聞こえる
という特徴がありました。
このため、乗組員たちは驚き、冗談交じりに「宇宙の音楽」と呼びました。
NASAが公開した実際の音声データは以下の動画(ディスカバリーチャンネル)から聞くことができます。
動画の最初の部分が宇宙の音楽に関する内容です。
乗組員たちの反応
NASAが公開した音声記録によると、以下のような会話が交わされていました。
トーマス・スタッフォード(指令船操縦士):
「この音、聞こえるか?」
ユージン・サーナン(月着陸船操縦士):
「一体何だこれは?まるで口笛みたいな音だぞ。」
ジョン・ヤング(指令船パイロット):
「本当に奇妙だな。」
サーナン:
「俺たちが報告したら、きっと『頭がおかしくなったんじゃないか』って思われるぞ。」
彼らは音の正体がわからず戸惑いましたが、当時は詳しく調査されませんでした。
音の正体とは?
後のNASAの分析によると、この音はVHF(超短波)通信の干渉によるものだったと結論づけられています。
VHF通信の干渉とは?
アポロ10号では、
- 司令船(CSM)
- 月着陸船(LM)
の2つが分離して月の裏側を飛行していました。
その際、両方の通信機器が近距離で動作し、電波が干渉し合って異音を発生させたと考えられています。
実際、アポロ11号や他のミッションでも同様の音が記録されていたことが判明しました。
乗組員たちは地球外生命体の可能性を考えたのか?
NASAの記録や証言によると、乗組員たちは「地球外生命体の可能性」を真剣に疑うことはありませんでした。
彼らは驚きつつも、「技術的な要因があるはずだ」と考えていたようです。
また、後年のユージン・サーナン氏の証言によると、
「単なる通信障害でしょう。それ以外の何かだと思っていれば、フライト後に皆に伝えていたはずです。」
とも語っており、当時はそれほど深刻に考えていなかったことが分かります。
なぜ「謎の音」として話題になったのか?
- NASAが長年データを公開しなかった(2008年まで未公開)
- 2016年にディスカバリーチャンネルがドキュメンタリー番組で紹介した
- 「宇宙の音楽」という表現が話題を呼んだ
このような要因から、「謎の音」として都市伝説的に広まることになりました。
まとめ
- アポロ10号の「口笛のような音」は、VHF通信の干渉が原因
- 乗組員たちは驚いたものの、地球外生命体とは考えていなかった
- NASAの公式見解として、科学的に説明可能な現象とされている
- 実際の音声データも公開されており、神秘的なものではない
アポロ10号の「月の裏側の音楽」は、宇宙飛行士たちにとって驚きの体験だったことは確かですが、
超常現象や知的生命体ではなく、技術的な要因によるものだったというのが結論です。
カゲノ残念……





